代表挨拶
MESSAGE
小集団での保育を通じた
“十人十育”の実現
世の中を見渡すと、子どもたちがいかに大人都合に付き合わさせられているのか、はっとする瞬間がたくさんあります。私たち大人がそうであるように子どもは全員が違う子で、それぞれが自分を中心に、「子ども」を生きています。子どもはまだ幼く、大人と比べればできないことや知らないこと、分からないことが多いので、大人は子どもの情緒の安定や生命の保持は当然ながら、その健やかな成長と福祉に責任を持っています。
一方で、子どもは幼くとも立派な一人の人間です。しつけの概念や「◯歳ならここまでできるのが普通」といった大人が考える当たり前にとらわれるあまり、無意識のうちに、子どもの大切な心をおざなりにしてはいないだろうか。これまでの子どもという存在へのまなざし、態度、子ども観を今、改めていかなければならないのではないかと真剣に考えています。私たちの仕事は、保育園を作ったり、ただ運営することが目的なのではなく、その環境の創造により、真の「子どもの最善の利益」を保障することです。
子ども一人ひとりの気持ちや個性に寄り添える保育を
一つ目の事業の小規模保育は、平成27年度の子ども・子育て支援新制度の開始とともに認可事業としてスタートしたまだ歴史の浅い保育園のかたちです。0~2歳児(学年)までを対象に、定員19名までの小さな施設規模で運営が可能なため、特に保育所用地が確保しにくい都市部における待機児童解消が期待されてできた制度です。
保育園を親が働くために子どもを預ける場所と考えれば、「2歳までしか通えない」「園庭がない」「認可保育所に入れなかったときに仕方なく保活先として考える場所」といった、これまでの保育所のイメージと比べてどこか不完全な保育園であるように見られがちです。
しかしながら、子どもの発達、育ちの過程の面で、人間としての土台が形成される3歳未満児期に大切な一つひとつの丁寧な保育の営みを実現しやすい意義についてはあまり知られていません。
赤ちゃんから1歳、2歳へと進むこの時期の発達は月齢差や個人差が大きく、保育園という集団生活の中で、一人ひとり丁寧に、応答的に、そして、個別の配慮を大切にしながら保育を展開することは実はとっても難しいことであり、でも保育者は皆、それが一番望ましいと考えながらも葛藤を抱えてきた部分でもあります。当たり前ながら、親御さんも、我が子のことを、みんなの中の一人ではなく、その子本人のためのことを一番に考える保育を願っているはずです。
私たちが運営するといろきっず保育園では、待機児童問題、働きながらの子育てなど大人の都合や事情を子どもに付き合わせざるを得ない世の中でも、常に子どもたちを主体に、さらにもう一歩踏み込んで言えば「その一人の子ども主体」を考え抜いて作り上げる環境、保育のあり方を模索し続けます。それが、保育園の第一義である、子どもの最善の利益そのものに通ずると信じています。
特別な配慮や支援が望ましい幼児のための保育型(親子分離)療育
昨今、待機児童問題は徐々に解消に向かいつつあります。しかしながら、未就学期において発達に気がかりなところや特性、凸凹が見られるなど、特別な配慮や支援が望ましい幼児のための早期支援の場は満足にあるとは言い難いです。当社2つ目の事業である保育型発達支援CYS schoolは、そんなお子さんがまず第一に「安心して自己を発揮できる場」であることを発達支援の基本としています。
少人数制で子ども一人ひとりの個を尊び、丁寧に関わる小規模保育運営の経験を活かして、一人ひとりの困りごとに寄り添い、保護者の方と伴走する小集団保育(親子分離)を通じた発達支援を行なっています。
他のお友だちや先生たちと過ごす「保育」という生活の流れの連続を基盤とし、生活習慣や(言語にかぎらない)コミュニケーション力、SST(ソーシャルスキルトレーニング)に主眼をおいて支援をしています。子ども一人ひとりの「できる部分」「すきなこと」「得意なこと」に気づき、伸ばし、それを認めながら子どもが自ら育つ「意欲」を育み、将来の豊かな生活につなげていく発達支援を。つねに子どものそばに寄り添い、その子らしいかけがえのないアイデンティティの確立を支援する。それがCYS schoolの信念です。

市から指定を受けた児童発達支援事業所として、障害児通所支援という類型名称のもとで運営するものになりますが、発達における明確な判定が難しい未就学期において、発達障害そのものがあるのかないのかに関わらず、発達に気がかりな段階、気づきの時点からご利用いただける早期療育の場です。
「周りの子に比べるとうちの子は落ち着きがない」「言葉がとてもゆっくり」「言葉が多いけど、いつも一方的に話をして、人の話を聞いてくれない」など、お子さん本人の支援はもちろんのこと、育児に悩まれている保護者の方を少しでもサポートしていきたいと考えています。
平成から令和となり、AI社会が日常で現実味を帯び、未曾有の世界的混乱をもたらしたあとも続くであろうウィズ・コロナの時代。今の子どもたちは、大人になる20年後、30年後、更にその先、私たちには想像もできないような新しいパラダイムの中に身を投じていくことになります。
どんな困難が待ち受けていようとも、自分を信じ、意欲的に社会へオリエンテーションしていける力。その、根っことなる未就学期の子どもたちの成長に関わるという大いなる責任を自覚し、「自己肯定感」がしっかりと育まれる連続した日常を支えられるよう、保護者の皆さまのパートナーとして誠心誠意、取り組んでまいります。
株式会社十色舎
代表取締役 福井 渉